「Excelで作成したグラフ」をWordなどにコピー&ペーストするときは、あらかじめ「グラフのサイズ」を把握しておく必要がある。また、グラフに「図形」を追加して図版を作成する場合もあるだろう。このような場合は、グラフにリンクするように図形を描画しておくのが基本だ。今回は、これらの操作とコピペ時の挙動について紹介していこう。
グラフのサイズを数値で指定するには?
まずは、「グラフのサイズ」を変更する方法から解説していこう。グラフのサイズを変更するときは、四隅や上下左右にあるハンドルをドラッグするのが一般的だ。
ハンドルを使ったグラフのサイズ変更
この方法の利点は「グラフのサイズ」を直感的に変更できること。その反面、「実際のサイズは何cmになっているか?」を把握しづらいのが欠点といえる。そこで、サイズを数値で指定する方法も覚えておくとよい。
サイズを数値で指定するときは、グラフをクリックしてから「書式」タブを選択し、「サイズ」グループで「高さ」と「幅」を数値(cm単位)で指定する。
グラフの幅、高さを数値で指定
これで指定した「高さ」、「幅」のグラフサイズに変更できる。特に目新しい操作ではないため、すでに知っている方も多いであろう。まだ知らなかった方は、この機会に必ず覚えていただきたい。
サイズを変更したグラフ
このように、最初に「グラフのサイズ」を指定してからグラフの編集作業を進めていくと、Wordなどに貼り付けた際に無駄な修正作業をしなくても済むようになる。まだ「貼り付け先のサイズ」が決まっていない場合は、少し大きめのサイズを指定しておき、画像化して貼り付けるようにすると、無駄な修正作業を強いられなくなるはずだ(詳しくは前回を参照)。
グラフにリンクした図形を描画するには?
続いては、図形をグラフにリンクさせる方法を紹介していこう。「テキストボックス」や「線」などの図形をグラフに追加するときは、グラフを選択した状態で「図形」コマンドを操作するのが基本だ。
グラフを選択した状態で図形を選択
その後、マウスをドラッグして図形を描画し、文字入力と書式指定を済ませると、以下の図のようになる。見た目は「通常の図形」と同じように表示されるが、この図形はグラフにリンクされている。
図形の描画と文字入力
図形をグラフにリンクさせた場合は、「図形」と「グラフ」を1つのオブジェクトとして扱えるようになる。このため、「グラフ」の位置を移動すると、それにあわせて「図形」の位置も一緒に移動される。
グラフを移動した場合
また、「グラフのサイズ」と「図形のサイズ」も連動するようになる。例えば、グラフのサイズを以下の図のように変更すると、以前の比率を保つように「図形のサイズ」も自動的に変更される。
グラフのサイズを変更した場合
その結果、図形から文字がはみ出してしまう場合もある。このような場合は、文字サイズを指定し直す、図形(テキストボックス)のサイズを修正する、などの作業が必要になる。このような観点からも「グラフのサイズ」は最初に指定しておくのが基本といえる。
図形を含むグラフのコピー&ペースト
続いては、今回の連載の本題ともいえる「グラフのコピー&ペースト」について解説していこう。先ほど示したように、グラフにリンクさせる形で「図形」を描画した場合は、グラフを選択して「Ctrl」+「C」キーを押すだけで、リンクされている図形も一緒にコピーされる。
グラフを選択して「Ctrl」+「C」キーでコピー
よって、そのまま「Ctrl」+「V」キーでWordに貼り付けるだけで、「グラフ」と「図形」の両方をコピー&ペーストできる。
「Ctrl」+「V」キーでWord文書に貼り付けた例
ただし、「グラフやサイズ」が「本文の幅」に合わせて自動調整されることに注意しなければならない。このとき、グラフにリンクされている「図形のサイズ」も自動調整される。
一方、グラフ内や図形内にある文字の「文字サイズ」は自動調整されない。このため、上図のようにレイアウトが乱れてしまうケースもある。この挙動は、前回に紹介した内容と同じだ。よって、貼り付け後に修正作業を強いられることになる。
こうした修正作業を避けるには、あらかじめ「貼り付け先のサイズ」に合わせてグラフを作成しておくか、もしくは画像化して貼り付ける必要がある。
画像化して貼り付けるときの操作手順は、「グラフ」を単体でコピー&ペーストする場合と同じ。「貼り付け」コマンドから「図」のアイコンをクリックして、貼り付け(ペースト)の作業を行えばよい。
画像化して貼り付ける場合の操作
その後、グラフ(画像)のサイズを調整すると、Excelでグラフを作成したときのレイアウトを維持したまま、拡大/縮小することができる。
画像化して貼り付けた場合
このように「リンクされている図形」を含む場合であっても、グラフを画像化して貼り付ける方法は有効となる。図形が含まれているからといって、特別な操作が必要になるわけではない。グラフ単体の場合と同じ手順で、「画像化して貼り付け」を実行することが可能だ。
図形とグラフがリンクされていない場合は?
念のため、「リンクされていない図形」がある場合の挙動についても紹介しておこう。以下の図にある「背景が緑色の図形」(テキストボックス)は、グラフにリンクされていない、通常の図形として描画されている。
この場合もコピー&ペーストを実行することが可能だ。「Shift」キーを押しながら「グラフ」と「緑色のテキストボックス」をクリックして同時に選択する。この状態のまま「Ctrl」+「C」キーを押してコピーする。
図形とグラフを同時に選択してコピー
その後、Wordを起動し、「Ctrl」+「V」キーで貼り付けると、以下の図のような結果になる。
「Ctrl」+「V」キーでWord文書に貼り付けた例
この場合は「グラフ」や「図形」のサイズが自動調整されるだけでなく、「リンクされていない図形」の位置もリセットされてしまう。よって、無駄な修正作業がさらに増えてしまうことになる。「リンクされていない図形」の数が多くなればなるほど、それに比例して修正作業の量も増えていく。
ちなみに、コピーした「グラフと図形」を画像化して貼り付けた場合は、Excelで作成したときのレイアウトがそのまま維持される仕組みになっている。
画像化して貼り付けた例
よって、図形をリンクさせていない場合にも「画像化して貼り付け」は有効なコピー&ペースト手段となる。この仕組みを応用できるケースも多々あるので、この機会にいちど、それぞれのコピー&ペーストの挙動を確認しておくと役に立つだろう。