Web会議ツールの一つで、さまざまな機能が搭載されているMicrosoft Teams。便利な機能としてライブトランスクリプション(自動文字起こし)があります。会議の議事録作成にピッタリの機能ですが、使い方がよくわからない人もいるでしょう。

本記事では、Teamsのライブトランスクリプション(自動文字起こし)機能の概要やメリット、使い方などについて、実際のスクリーンショットとともに詳しく解説します。

    Teamsのライブトランスクリプション(自動文字起こし)機能について解説します

Teamsのライブトランスクリプション(自動文字起こし)とは

デスクトップ版のTeamsでは、ライブトランスクリプションと呼ばれる自動文字起こし機能を利用できます。そもそも「トランスクリプション(transcription)」とは「筆写、転写」という意味の英単語です。

ライブトランスクリプション(自動文字起こし)を使うと、会議中の参加者の発言をリアルタイムで文字に起こして画面に表示、またデータとして保存ができます。そのため会議中に議事録を取ったり、会議後に録音データを聞いて文字起こしをしたりする手間を省くことができます。会議の生産性が高まるだけでなく、聴覚に障がいのある人や、会議中の言語が第2言語であるなど言語レベルに差がある参加者をサポートできる点がメリットです。

また、周囲が騒がしく音が聞き取りにくい場所にいる人も、トランスクリプションを確認することで会議により参加しやすくなります。

ただし、すべてのプランで使えるわけではなく、以下のプランで利用可能とされています。無料プランは対象外なので注意しましょう(2022年9月14日現在)。

  • Office 365 E1
  • Office 365 A1
  • Office 365/Microsoft 365 A3
  • Office 365/Microsoft 365 A5
  • Microsoft 365 E3
  • Microsoft 365 E5
  • Microsoft 365 F1
  • Office 365/Microsoft 365 F3
  • Microsoft 365 Business Basic
  • Microsoft 365 Business Standard
  • Microsoft 365 Business Premium SKU

対応する言語は最大34か国語です(2022年9月14日現在)。アメリカ英語、カナダ英語、イギリス英語、オーストラリア英語といった英語圏の中での言語の識別はもちろん、その他中国語、日本語、韓国語、フランス語など、会議中の言語に合わせて設定を変えることができます。

ライブトランスクリプションとライブキャプションの違い

    Teamsにはライブトランスクリプションと似た機能で、ライブキャプションという機能もあります

なおTeamsには別途、ライブキャプションという機能もあります。ライブキャプションとは、会議中の参加者の発言をリアルタイムで文字に起こし、画面下部に字幕のように表示できる機能です。ライブトランスクリプションとは異なり、保存はできません。

対応言語はライブトランスクリプションと同様に最大34か国語です(2022年9月14日現在)。

Teamsのライブトランスクリプション(自動文字起こし)の使い方

    ライブトランスクリプション(自動文字起こし)の使用には事前準備が必要です

ここからは実際にライブトランスクリプション(自動文字起こし)を使う方法を解説します。

※今回はWindowsのPCにてデスクトップ版のアプリを使用して解説します

事前準備

ライブトランスクリプションを使うためには、事前にTeams管理センターでの設定が必要です。設定は、管理者権限を持ったアカウントでのみ変更可能です。

まずMicrosoft Teamsの管理センターにアクセスします。左側のバーの「ミーティング」から「会議の方針」をクリックします。「Recording&transcription(または「レコーディングとトランスクリプト」)」の項目の一番上にある「Transcription(または「トランスクリプト」)」はデフォルトではオフになっている可能性があるため、ここをオンに変更してください。設定を保存し、事前準備は完了です。なお、設定が反映されるまで数時間掛かることがあります。

    Microsoft Teamsの管理センターでの事前設定箇所

もし会議中に「…」(その他)を開いても、「トランスクリプトの開始」がグレーアウトしてクリックできない場合は、この管理者センターから「Transcription」がオンになっているか確認しましょう。また、管理者がこの機能を有効にしていないと使えないため、管理者権限を持っていない場合は管理者に相談してください。

ライブトランスクリプション(自動文字起こし)を開始

事前準備が完了したら、会議中の画面からライブトランスクリプション(自動文字起こし)を開始できます。画面上部の右側の「…」(その他)をクリックし、「トランスクリプションの開始」を押してください。

    Teamsの会議中画面における、ライブトランスクリプション(自動文字起こし)の開始箇所

すると画面の右側に、設定言語に合わせて自動的にトランスクリプトが表示されます。トランスクリプトは、発言者の名前とタイムスタンプとともに記録されます。

音声言語を日本語に変更

トランスクリプトはデフォルトで英語になっている場合があるため、音声言語を日本語に変更します。

「トランスクリプト」の右側にある「…」をクリックすると「音声言語を変更しますか?」と表示されるので、選択してください。

    トランスクリプトが日本語でない場合は音声言語の変更をしましょう

そうすると選択肢が出てくるので、音声言語を日本語に変更します。

    会議で使われる言語を選択します。今回は日本語を選択します

日本語での設定に変更した直後から、トランスクリプトが日本語で表示されるようになります。

    日本語のトランスクリプトが表示されるようになりました

なお言語設定を変更すると、すべての会議参加者に変更が適用されます。

ライブトランスクリプション(自動文字起こし)を停止

トランスクリプションを開始したときと同じく、画面上部の右側の「…」(その他)から「トランスクリプションの停止」を選択すると、ライブトランスクリプション(自動文字起こし)を停止できます。

    Teamsのライブトランスクリプションの停止の仕方

トランスクリプトを削除

トランスクリプトは会議終了後にチャットに表示されます。削除したい場合は「会議 トランスクリプト」のメッセージの右上の「…」をクリックし、「トランスクリプトを削除」を選択してください。

    トランスクリプトの削除方法

Teamsで文字起こしする上で覚えておきたいことと操作方法

    Teamsのライブトランスクリプションでは、文字起こししたデータをダウンロードできるなどの機能もあります

ライブトランスクリプション(自動文字起こし)を使う上で覚えておきたいポイントと、その操作方法を紹介します。

文字起こしはダウンロードできる

会議が終了すると、チャット、またはカレンダーの会議イベントからトランスクリプトをすぐにダウンロードできます。「.docx」または「.vtt」ファイルとしてダウンロード可能です。

ここではカレンダーからのダウンロード方法を紹介します。左側のバーから「カレンダー」を選択します。

    トランスクリプトをダウンロードするには、まず「カレンダー」を選択

そして「レコーディングと文字起こし」タブをクリックすると、会議中のトランスクリプトが表示されます。

    上部の「レコーディングと文字起こし」タブを選択します

最後に、トランスクリプトの上にある「ダウンロード」をクリックし、必要なファイルの種類を選択して完了です。

発言を匿名で表示させられる

トランスクリプトの機能を使うと、自動で会議中に発言した参加者を特定、表示します。もし「匿名で発言したい」「誰の発言か識別されたくない」という場合は、以下の方法にて匿名に変更することが可能です。

まずはTeamsアプリの右上、プロフィールアイコンの横にある「…」をクリックして、設定を開きます。

設定画面の左側より「キャプションとトランスクリプト」を選択すると「会議のキャプションやトランスクリプトで自動的に自分を特定する」という項目が出てきます。

匿名にしたい場合はこの項目をオフにしましょう。反対に、オンにすれば会議中の自分の発言を特定させることができます。

    発言を匿名にしたいときの設定箇所

Teamsでライブトランスクリプション(自動文字起こし)を使用するメリット

    自動文字起こし機能を使うことで作業効率のアップにつながります

Teamsのライブトランスクリプション(自動文字起こし)機能には、主に2つのメリットがあります。

議事録作成者の負担を軽減できる

自動文字起こしを使うことで、会議中や会議後における議事録作成者の手間を省くことができます。

会議中に手作業でメモを取るのは大変なだけでなく、議事録作成者はメモに必死になることで発言の機会を逃してしまいがちです。そういった場合にライブトランスクリプション(自動文字起こし)を使えば、話し合いに集中しやすくなるでしょう。

また、会議後に録音を聞きながら文字起こしをする場合、例えば10分の録音データを起こすのに約1時間掛かるともいわれています。音声データを聞きながら一から文字を起こす手間が省けるので、仕事効率アップの面でも、自動文字起こしは役に立つ機能です。

社内・社外での共有がしやすくなる

ライブトランスクリプション(自動文字起こし)機能を使うことで、社内・社外向けを問わず、簡単かつ迅速に情報共有ができるようになるでしょう。

Teamsの自動文字起こし機能を使って業務効率を上げよう

Teamsのライブトランスクリプション(自動文字起こし)とは、オンライン会議中にリアルタイムで文字起こしをする機能です。

特定のライセンスを持っている人であれば使用可能で、音声言語は最大34の言語から選択可能。トランスクリプトのダウンロードもできるようになっています。

自動文字起こしをすると業務効率が上がるなどのメリットが多いため、積極的に利用してみるといいでしょう。

※なお公式サイトによると、このライブトランスクリプションには、アイテム保持ポリシーの適用、電子情報開示、法的ホールドのサポートはないとされています。そのため、使用は会議主催者の作業に依存しているということに注意しましょう。