今回は、スライド上に作成したグラフをカスタマイズする方法を紹介していこう。といっても、この操作手順はExcelでグラフを編集する場合と基本的に同じである。Excelに慣れている方なら特に戸惑うことなく作業を進められるだろう。ここでは、一般的によく使われるグラフのカスタマイズ手順について紹介しておこう。

グラフ要素の表示/非表示

グラフをクリックして選択すると、右側に3つのアイコンが表示される。これらのうち、一番上にある「グラフ要素」のアイコンは、「グラフ内に表示する要素」を変更するときに利用する。

    表示するグラフ要素の指定

「軸」、「軸ラベル」、「グラフタイトル」などの項目が用意されているので、状況に応じて「グラフに必要となる要素」を選択してONにしていけばよい。各項目が示す内容(要素)をよく理解できない方は、実際に項目をONにしてみると「その各項目が何を示しているか?」を把握できるだろう。

たとえば、「データラベル」の項目をONにすると、以下の図のように「各データの数値」がグラフ内に表示される。

    「データラベル」をONにした場合

もちろん、これらの数値(文字)の書式を変更することも可能だ。この場合は、グラフ内に表示された「データラベル」をクリックして選択し、「ホーム」タブで文字の書式を指定する。数値の文字サイズが大きすぎる、読み取りにくい色で数値が表示される、というケースも多いので、必要に応じて自分で書式を調整しておこう。

そのほか、「グラフ要素」のサブメニューを使って要素の配置を指定することも可能となっている。たとえば「軸ラベル」の項目上にマウスポインタを移動し、「右向きの▲」をクリックすると、以下の図のようなサブメニューが表示される。このサブメニューは、「縦軸だけに軸ラベルを表示したい場合」などに活用できる。

    「軸ラベル」のサブメニュー

同様に「凡例」の項目には「凡例の位置」を指定するサブメニューが用意されている。

    「凡例」のサブメニュー

これらを利用して、「必要な要素」が「適切な位置」に表示されるようにグラフを変更していくのがカスタマイズの基本となる。

グラフ スタイルの活用

上から2番目に表示されている「グラフ スタイル」のアイコンは、グラフ全体のデザインを手軽に変更したいときに利用する。

    グラフ スタイルの変更

一覧から好きなスタイルを選択すると、グラフ全体の雰囲気をガラっと変えることが可能となる。グラフのデザインを考えるときの参考としても活用できるだろう。

    スタイルを変更したグラフ

グラフ フィルターの活用

一番下にある「グラフ フィルター」のアイコンは、一部のデータを除外したグラフにカスタマイズするときに利用する。「必要のないデータまで入力してしまった・・・」とか、「雑多すぎてグラフを読み取りにくい・・・」といった場合に活用するとよい。

具体的な例を示しておこう。たとえば、「目黒店」と「2015年」の項目をOFFにして「適用」ボタンをクリックすると、それらのデータを除外したグラフに変更できる。

    グラフから除外するデータの指定

    一部のデータを除外したグラフ

PowerPointでグラフを作成するときは、「データ推移を詳しく伝えること」だけでなく、「見やすいグラフにすること」にも配慮しなければならない。系列やカテゴリの数が多すぎてグラフを読み取りにくくなってしまった場合は、思い切って「重要性の低いデータを除外する」などの対応が必要となる。このような場合に備えて、データを手軽に除外できる「グラフ フィルター」の使い方を覚えておくとよい。

グラフの色の変更

続いては、グラフの色を変更する方法を紹介していこう。グラフ全体の色を手軽に変更したいときは、グラフツールの「デザイン」タブにある「色の変更」を利用するとよい。

    「色の変更」コマンド

ここで「好きな色の組み合わせ」を選択すると、それに応じてグラフ全体の配色を変更することができる。シックで洗練された雰囲気に仕上げたい場合は、「モノクロ」の中から配色を選択してもよいだろう。

    配色を変更したグラフ

もちろん、それぞれの系列について個別に色を指定していくことも可能だ。この場合は、その系列を右クリックし、「塗りつぶし」コマンドで色を変更する。

    「系列の色」の変更

    「系列の色」を変更したグラフ

さらに、各データ要素の色を個別に指定することも可能となっている。この場合は、そのデータ要素を2回ゆっくりとクリックする。すると、「系列」ではなく、個々の「データ要素」だけを選択できるようになる。

    データ要素を個別に選択

この状態でマウスを右クリックし、「塗りつぶし」コマンドで色を指定すると、そのデータ要素についてのみ色を変更することが可能となる。

    データ要素の色を変更したグラフ

なお、作成したグラフが「折れ線グラフ」であった場合は、右クリックメニューの「枠線」コマンドを使って、線の色、太さ、種類を指定する。「折れ線グラフ」を利用するときは、間違えないように注意しよう。

    「枠線」の書式指定

グラフ要素の書式設定

各要素の書式を詳しく指定したいときは、その要素の書式設定画面を利用する。この画面は、その要素をダブルクリックすると呼び出すことができる。たとえば、「縦軸」の部分をダブルクリックすると・・・

    書式設定画面の呼び出し

「軸の書式設定」がウィンドウ右側に表示される。ここでは、縦軸の「最小値」、「最大値」、「目盛線の間隔」などを指定できる。以下の図は、縦軸の「最小値」を0、「最大値」を7500、「目盛線の間隔」を2500、「補助目盛線の間隔」を500に変更した場合の例となる。

    最小値、最大値、目盛間隔の指定

ただし、これらの数値を指定してもグラフに補助目盛線は表示されない。補助目盛線を表示するには、「グラフ要素」を使って以下の図のように操作する必要がある。

    補助目盛線の表示

これで、グラフ内に「補助目盛線」を表示することができる。このとき、「目盛線」と「補助目盛線」を区別できないグラフになってしまうケースもある。

    補助目盛線を表示したグラフ

このような場合は、補助目盛線を右クリックし、「枠線」コマンドで線の色、太さ、種類などを調整すると、見やすいグラフに仕上げることができる。

    補助目盛線の書式変更

このように、グラフをカスタマイズするときは、「右クリックメニュー」や「各要素の書式設定」を利用して書式を指定していく。今回の連載で紹介した内容のほかにも、グラフのカスタマイズ方法は色々とあるので、各自でも研究してみるとよいだろう。

グラフのカスタマイズは、それだけで一冊の本を作成できるほど奥が深く、詳しく紹介していくと「切りのない話」になってしまう。これについては、いずれ別の機会を設けるとして、次回からはPowerPointでよく利用される「SmartArt」の使い方を解説していこう。