2022年5月11日から13日にかけて、東京ビッグサイトにて「デジタル人材育成支援 EXPO【春】」が開催されている。同展示会は今回が初の開催となる。企業や組織のDX(デジタルトランスフォーメーション)で注目が集まる中、AI(人工知能)やデータ分析の活用、ITリテラシー向上、セキュリティ知識の獲得などに役立つeラーニング・研修、コンサルティングサービスを提供する企業が出展している。

出展企業の中で、SIGNATEが5月中の提供を予定するオンライン学習教材「Excel テーブルデータ100本ノック」を参考出展していたので紹介する。

    SIGNATEのブースで、リリース前のオンライン学習プログラム「Excel テーブルデータ100本ノック」を体験できた

同社は、企業の従業員のデータスキル向上を支援するスキルアセスメントやオンライン学習プログラムのほか、「コンペティション」という従業員・職員同士でデータ分析のコンペを通じてデータ活用カルチャーの醸成を図るサービスを提供している。4月からは各種サービスをSaaS(Software as a Service)で提供する「SIGNATE Cloud」をリリースしている。

同社のオンライン学習プログラムには、業界ごとのデータ分析課題について分析担当者が実業務で行う工程やケーススタディを学べる「Quest(クエスト)」と、実務に役立つ知識とスキル習得を目的とした「Gym(ジム)」が用意されている。

    「Gym」のプログラムには、AIリテラシー、データサイエンス、プログラミングなどの講座もある

「Excel テーブルデータ100本ノック」は、Gymで提供予定のプログラムで、Excelでテーブルデータを処理するための演習問題が全部で100問用意される。

100問のうち「基礎編」では、基本のデータ処理に関する問題が簡易的な手順解説とともに50問用意される。残りの50問が基礎編で学んだ内容をベースにさまざまなタイプの演習を行う「応用編」となる。

基礎編、応用編ともに、問題を解く方法は自由で、基礎編の解説にない関数を使用して解いてもよいし、他社が提供しているBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを使用してもよい。

    「基礎編」のプログラム例。Excelの基本操作からスタートして、データ確認、データ抽出など、分析の前に求められるデータの前処理のポイントを学べる

    「基礎編」の手順解説。数字の大小を基準にデータを抽出する方法が例示されている

演習の流れとしては、まず課題用のExcelファイルをダウンロードする。そのファイル上で、課題を解くために必要なデータ分析を行い、得られた結果を基に回答・採点を行う。分析方法がわからない場合に参照するヒントも用意されている。

課題の正答率や学習状況、スキルレベルなどをSIGNATEの学習プラットフォーム上で受講者ごとに管理し、スキルレベルの変化も追跡できる。

    欠損値を集計する応用問題のページ。「衣類を販売するECサイト」から品目やカテゴリー、購入者の年齢や商品レビューなど、文字列や数字のデータを集計した場合を想定しており、「Review Title」の列の欠損値を集計し、正しい数を回答する

    欠損値集計の課題データ。「Review Title」の空白のセルが欠損値だ

SIGNATE データサイエンティスト 戸澗幸大氏

同プログラムの問題やカテゴリーの設計に携わった、SIGNATE データサイエンティストの戸澗幸大氏は、「データ分析を実務で導入しようとして、つまづきやすいのが社内のデータの整理や分析に適した形に整える前処理のところだ。しかし、多くの企業ではデータの集計の仕方やラベリングがバラバラだったり、欠損したデータが散見されたりする。今回の『100本ノック』プログラムでは、データ分析をExcelで行う際の手順や、分析を始める一歩前で必要になるスキルの習得を目指している」と紹介した。

新しいスキルの習得では、まずは座学で学び、テストを解いて知識定着をしてから演習を行うケースが多いが、同プログラムでは演習を行って、座学やスライド受講で補修するという流れで学ぶ。初学者にはハードルが高くないのだろうか?

戸澗氏はその点について、「知識として座学やスライドなどで教えられることも多いと思うが、データ分析を業務で利用できるプロになっていく際に重要なのは『慣れ』だ。慣れるためには、とにかくたくさんの問題を解く経験が必要で、実務寄りのスキルを身に付けるうえでは学習効果が高いと考える」と説明した。