今回は、ChatGPT for Excelが提供しているもっとも基本的な機能を取り上げる。今回取り上げる機能はChatGPT for Excelがリリースされた当初から提供されている機能で、ChatGPT for Excelがどういった目的で作られたものかを知ることができる機能だ。ChatGPTをアプリケーションで使う場合の基本的な利用方法としても参考になる。→連載「ExcelでChatGPTを使う – ChatGPT for Excel活用術」のこれまでの回はこちらを参照。
ChatGPT for Excelの提供する機能
ChatGPT for Excelは、Excelに対してChatGPTを使うための関数を提供するアドインだ。利用できるChatGPT APIキーを設定しておけば、そのAPIキーを使ってChatGPTへアクセスし、ChatGPTの返す答えを表示させることができる。
本稿執筆時点で、ChatGPT for Excelは次の関数を提供している。
- AI.ASK(“質問”)
- AI.LIST(“質問”)
- AI.FILL(サンプルデータ範囲,推測してほしいデータ範囲)
- AI.EXTRACT(“元データ”,”抽出してほしいデータの指定”)
- AI.FORMAT(元データ,”求めるフォーマットの指定”)
- AI.TRANSLATE(“元テキスト”,”翻訳先の言語の指定”)
上記3つの関数はChatGPT for Excelがリリースされた当初から提供されている関数だ。下の3つの関数はあとから追加された関数になっている。
今回は、最初から存在している3つの関数についてその動作サンプルを紹介する。
AI.ASK() – ChatGPTに質問する最もベーシックな関数
AI.ASK()はChatGPT for Excelの提供する最もベーシックな関数であり、ChatGPTの機能をほぼダイレクトに使うものだ。ChatGPT for Excelに限らず、アプリケーションの拡張機能やプラグインなどでChatGPTの機能を使うという場合、まず提供されることになるのがこのような機能になると考えられる。
使い方は「=AI.ASK(“質問”)」のようになる。次のスクリーンショットはB1に質問として「今日は何の日ですか?」が書いてあり、B2に「=AI.ASK(B1)」と書いたものだ。
AI.ASK()の使用サンプル
上記の画面では「=AI.ASK(B1)」と書いてあるセルが「#Bビジー!」と表示されている。ChatGPT for Excelの関数はChatGPTにアクセスして答えを得る関数なので、入力したあと返事が戻ってくるまでのタイムラグがあり、しばらくはこのようなビジーの表示がでる。じっと待っていると表示は次のようになる。
AI.ASK()の使用サンプル
その返事の内容にも注目してほしい。上記の答えは誤っている。ChatGPTはきわめて効果的なツールだが、同時に、ごく自然と嘘をつくという特性も備えている。上の例もそうだ。ChatGPTを使う場合は、常にこうした間違いがあることも考えて利用する必要がある。
AI.LIST() – ChatGPTの答えをリストで一覧表示する関数
ChatGPT for Excelで提供されている関数のうち、結構便利だと思う関数がAI.LIST()だ。この関数はChatGPTの返してくる答えをリストで表示してくれる。
例えば、次の画面は「=AI.LIST(“高タンパク低脂質な植物性食品を10個教えてください。”)」と聞いているところだ。返事を待っているのでビジーと表示されている。
AI.LIST()の使用サンプル
しばらく待っていると、次の画面のような表示になる。このようなデータがリストで表示されると便利なことが多い。
AI.LIST()の使用サンプル
こちらもChatGPTの内容に注目してほしい。1.のえんどう豆は良質なタンパク源だが高タンパクとは言い難い。2.のピーナッツは高タンパク高脂質であり、どう考えても質問に対して誤った返事をしている。上記の場合、どの結果も間違っていることになる。
ここではChatGPT for Excelで使っているアカウントが無料で利用できるアカウントなので、正確性などの精度が低い可能性がある。同じ質問を有償のChatGPT (GPT-4)に対して行うと次の結果が得られる。
- レンズ豆
- 黒豆
- チアシード
- キヌア
- ひよこ豆
- アーモンド
- 豆腐
- テンペ
- 枝豆
- スピルリナ
こちらの結果だとレンズ豆はパーフェクトだ。多少脂質が高くなるがキヌア、ひよこ豆、スピルリナもいい線をいっている。こちらの方が回答の精度は高い。